埼玉県坂戸市(東武東上線 北坂戸駅 徒歩10分)にある、もりや歯科 院長 森谷良行(もりやよしゆき)です。
いきなりですが、歯科医師が入れ歯造りの全てをしていると思っていませんか?実は歯科医師の9割は自分では作ることができません。やり方は知っているかもしれませんが、入れ歯作成を実践できる歯科医師はごく一部です。ほぼ全ての歯科医師が学生の時にちょっとかじった程度です。ちなみに、私は平成17年から平成30年まで、入れ歯造りのほとんどを自分で行っていました。13年間に1000個以上の入れ歯造りをしていました。今考えても、診療が終わってから入れ歯造りを初めて深夜まで作業をして、仮眠をして早朝から作業を再開。そして、診療をする。と言う事をしていました。今現在は体力的なこともありますが、とある思いが強くなったため自分で作ることをほぼ止めました。
とある思いとは、
『自分が今まで教わって培った知識や技術を、次の世代へバトンを託す!!』
自分で作ることである一定以上の品質は確保されます。しかし、自分一人で行うことで限られた人数の患者さんの診察をしていました。世の中には入れ歯で悩んでいる方が私が想定している以上にいると思っています。一人でも多くの方々に「美味しく楽しく家族と一緒の食事を食べて人生を豊かに過ごして欲しい」という思いから、一人でも多くの方の診察ができるようにするために自分でいれば作成を止めて次世代へバトンを繋げたいと思うようになりました。
話を少し戻しますが、誰が入れ歯づくりをしているかと言えば歯科技工士という国家資格を持っている方々です。歯科技工士以外の方が歯科治療で必要とされる差し歯や詰め物、入れ歯づくりをする事を違法としています。歯科技工士は全国で約35,000人の方が就業しています(平成30年 厚生労働省による調査)。35,000人もいるから安心と思わないで下さい。約48%が50歳以上です。令和10年で7,000人減少しているだろうと予想されています。あと数年後には全国で27,000人です。さらに追い打ちをかけるようですが、27,000人の中で入れ歯造りをしている方は1割程度と言われています。つまり2,700人。更に更にですが、入れ歯造りをしたいと想っている若手歯科技工士は数%です。しかも、歯科技工士になるための学校が全国に43校でほとんどの学校で定員割れをしているの現状です。
コレって大変な事が起きていると思いませんか
国も閣議で話題に上がっていますが、議事録を読んでも重要視されていないんだろうなって感じてしまいます。行政が動かないのなら自分が動けば良い!!その一歩として歯科技工士との連携を強めるために、自分自身での入れ歯づくりを原則止めることを決断しました。止めれば万事大丈夫というわけにも行かず現在も悪戦苦闘中です。
入れ歯づくりで大事な事は、診療室で出来ること以上に患者さん自身が入れ歯を使いこなす熟練度とその入れ歯を形作る歯科技工士の存在が大きいと感じています。当医院は素晴らしい歯科技工士とタッグを組むことができましたので良かった~~と思いつつも、これからのことを考えるとパートナーあるいは私が仕事をできなくなったらどうしようってお互いに心配しています。
自分の健康を保つことも皆さんのお口の中を拝見するためには大事な事ですので、元気元気に過ごせるように日々過ごしていきます。
