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院長ブログ 入れ歯

(80代男性)歯科大学教授への総入れ歯の治療。歯と一緒に失う体の機能も回復する入れ歯。

更新日:

埼玉県坂戸市(東武東上線 北坂戸駅 徒歩10分)にある、もりや歯科 院長 森谷良行(もりやよしゆき)です。

歯科大学で教鞭をしていた方の治療させて頂く機会を得ました。よく知っている方の治療でしたので、毎回非常に緊張した状態で治療をしていました。あそこまでの緊張感はなかなかありません。このような機会を得ることができたことに感謝です。

患者さんのお悩み

・80代男性

・総入れ歯治療

・嚙み合わせの高さと前歯の雰囲気が気になる。

治療計画

失礼ながら、ご年齢が高めであるため、嚙み合わせの変化に身体が対応できるのか?また咀嚼(噛む)、嚥下(飲み込む)、構音(話す)を含めた口腔機能に影響が出ないか?を気にしながら治療をすすめていきました。

治療の様子

2019年7月から治療開始。嚙み合わせを変化させるために、リハビリをする事ができる総入れ歯の製作を開始しました。

歯を失うことの意味

少し話が変わりますが、歯を失うことで、私たちの身体が失っていることは何だと思いますか?

失うのは、歯だけではありません。

  1. 歯を含めた周辺組織(顎の骨、歯茎など)
  2. 歯から伝わっていた感覚

この2つを失うことで、以下のすべてが変化します。

  1. 食べ方
  2. 飲み込み方
  3. 話し方
  4. 歩き方
  5. その他の運動

そして、口の周辺の感覚へも影響します。

  1. 味覚
  2. 嗅覚
  3. 触覚
  4. 痛覚

総入れ歯になると味がしなくなる?

「総入れ歯にすると上顎を覆うから味がしなくなった」とおっしゃる方もいますが、味覚の大半は舌の感覚です。

では、なぜ味がしなくなるのか?諸説いろいろと言われていますが、総入れ歯にすることで、いろいろなことが変化をしていき、その結果脳に伝わる感覚によって脳が誤作動をして味覚が鈍くなると私は理解しています。

もりや歯科が行っている「リハビリを目的とした総入れ歯治療」をしていくと、全員とは言いませんが、美味しく感じるようになっています。

視覚まで影響していると言う論文もあるようですが、私自身は総入れ歯治療をする事で視野が広がったり、視力が回復したと言うことを経験していませんので分かっていません。

最後に、総入れ歯になることで対外的な活動を抑制する事への精神的な苦痛や外見的な苦痛などを含めた心身的な影響があります。

このことは計り知れないと私は考えています。本当の意味で私自身が体験することができていませんので、総入れ歯を入れている方の苦痛を私なんかが「こうだ。」と語ること自体がおこがましいと考えています。

脱線しましたが、このように歯を失うことで失っていることを回復するために治療をすすめていきました。

治療後について

前述していますが、歯科大学の先生でしたので、痛かったり不都合があった場所はご自分で調整をしてくれました(不本意ながら調整されちゃいました・・・)。

治療をすすめながら、入れている感覚や治療についてを教わっていきました。治療をしながら授業を受けているような感覚でした。

今、考えてみると調整されてしまった理由として、私自身の嚙み合わせをとる治療のエラーがあったからだと考えています。

嚙み合わせは本当に難しいです。特に総入れ歯の場合は、ありとあらゆる情報がなくなっているためランドマークになる指標が正しいのか、間違っているのかの判断に迷うことが多くなります。

間違いやすいからこそリハビリ用の入れ歯で嚙み合わせの正誤を確認することが重要になります。

1つめのリハビリ総入れ歯では回復が不十分でしたので、2つめを創らせて頂くことにしました。

2つめは非常に調子が良かったようで、入れた直後から違いが沢山あることを教えて頂きました。

私が一番印象に残っているのは「粉薬を飲み込むのが楽になった」とおっしゃっていました。入れ歯と土手の間にも入らないしお口の中にも粉薬が残っている感覚がなくなったと言うことです。

治療を振り返って

今回は2つのリハビリ入れ歯を使用しましたが、患者さん本人の治療への参加(リハビリを日々行ってくれていた)が結果として大きかったと理解しています。

入れ歯治療は,歯科医師がいくら頑張っても上手くいきません。入れ歯を入れる本人が入れ歯を使いこなす練習を行いつつ、歯科医師が調整していくことでいれば治療は上手くいきます。

二人三脚でないと上手くいきません。歯医者にお任せでは上手くいきません。

今回の治療の場合は、1つめのリハビリ入れ歯を3ヶ月間、2つめのリハビリ入れ歯を2ヶ月の計5ヶ月間リハビリをしてもらいました。

実際の治療回数は2~3週間ごとの7回。リハビリの目標が達成したので、最終的な入れ歯を作りました。最終的な入れ歯が完成したのが令和2年2月末。コロナウイルスの猛威が日本中に広がっていた時期でしたので、最終的な入れ歯は宅急便にて送らさせて頂いてご自分で入れてもらいました。宅急便で郵送したこと自体が初めてでしたし、患者さん自身にお願いしたことも初めてでした。今回は患者さん自身が歯科医療に精通していること、世の中がコロナウイルスの影響でドタバタしていたので宅急便で送ることを決断しました。

治療を終えて感じることは、非常に緊張感のある治療で、初めての試みをたくさん行わせてもいました。入れ歯治療には絶対成功法則はありません。患者さんと歯科医師、そして入れ歯を作る歯科技工士を含めたたくさんの方々が全力で行うからこそ成功すると考えています。

最後になりましたが、私自身は常に全力ですよ。

  • この記事を書いた人

歯学博士 森谷良行

平成8年 日本大学歯学部卒業
平成8年 河野歯科医院にて勤務
平成11年 リバーサイド歯科クリニックにて勤務
平成13年 北坂戸に「もりや歯科」開業

平成8年 歯学学士取得(日大7369号)
平成14年 歯学博士取得(日大第6004号)
平成19年 厚生労働省より臨床研修施設として認定(研修施設番号070255)
平成30年 特許取得(「義歯の製造方法(特許第6454772号)」)

特定非営利活動法人一歯一心会 理事長/日本ヘルスケア歯科学会 オピニオンメンバー/日本歯周病学会 会員/日本補綴歯科学会 会員/中野予防歯科研究会 会員/歯顎矯正研究会 会員

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